
※登場人物は全て仮名です。とあるママさんが体験した話を元にしています。
小学3年生の娘を持つ私が、なぜもっと早くこれを買わなかったのかと後悔している。それは「脱水機能付きミニ洗濯機」である。
話は3ヶ月前に遡る。
毎週日曜の夜8時。私は浴室で靴ブラシを握りしめ、娘の上履きと格闘していた。
「ママー、まだー?」
リビングから聞こえる娘の声。テレビでは「ちびまる子ちゃん」が始まっている。私だって見たい。でも上履きの泥汚れは待ってくれない。特に体育館シューズの踵部分。なぜあんなに黒ずむのか。
ゴシゴシ、ゴシゴシ。
冬場は水が冷たくて指先が痺れる。夏場は蒸し暑くて汗だくになる。どっちにしろ地獄だ。
30分後、やっと洗い終えてベランダに干す。ここで私は毎週、致命的なミスを犯していた。それは「脱水なんてしなくても乾くでしょ」という甘い考えである。
月曜朝6時。娘の叫び声で目が覚める。
「ママ!上履き濡れてる!」
ベランダに飛び出すと、案の定、上履きはずっしり重い。絞ると水がポタポタ。
ここから私の狂乱タイムが始まる。
ドライヤーを全開にして内側を乾かす。でも全然乾かない。表面だけ温まって、中はジメジメ。扇風機も併用。電気代が怖い。というか近所迷惑だ。朝っぱらからゴォォォォという轟音。
7時20分。娘が家を出る時間。
「ママ、まだ濡れてる...」
「大丈夫!昼には乾くから!学校暖房効いてるし!」
完全に母親失格の言い訳である。
そしてある日、担任の佐藤先生から連絡が来た。
「お母様、○○さんの上履きが濡れていて、足が冷たいと保健室に来ました。風邪をひくといけませんので...」
恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
そんな地獄のループを繰り返していたある日、学校の保護者会で事件は起きた。
「うちね、ミニ洗濯機買ったの」
隣に座っていた優子さん(仮名)が突然そう言った。
「ミニ洗濯機?」
「そう。上履き専用の。脱水機能付いてるやつ」
脱水。
その言葉が私の脳に稲妻のように走った。
「脱水って、あの、洗濯機の脱水?」
「そうそう。洗ってから脱水まで自動でやってくれるの。だから土曜の夜に洗えば、日曜の昼にはもうカラッカラよ」
嘘だろ。
「でも、上履きって手で洗うものじゃ...」
「私もそう思ってたんだけど、ブラシ付きものもあって、泥汚れもしっかり落ちるのよ。しかもメインの洗濯機と分けられるから、衛生的だし」
優子さんはスマホで商品写真を見せてくれた。コンパクトなサイズ感。価格も思ったより手頃。
その瞬間、私の中で何かが崩壊した。
今までの30分のゴシゴシは何だったのか。月曜の朝の狂乱ドライヤータイムは。半乾きで娘に履かせた罪悪感は。
ちなみに優子さんは「うちのペットのマット洗うのにも使ってる」と言っていたが、我が家にペットはいない。でもいつか犬を飼いたいと娘が言っていた気がする。関係ないけど。
保護者会から帰ってすぐ、私はネットで検索した。
「ミニ洗濯機 脱水機能付き 上履き」
出るわ出るわ。こんなに選択肢があったのか。レビューを読む。
「土曜に洗って日曜には完全に乾いてます!」
「もっと早く買えばよかった」
「月曜の朝が人間らしくなりました」
私だけじゃなかった。全国に同志がいた。
その日の夜、夫に相談した。
「上履き洗い用のミニ洗濯機、買いたいんだけど」
「いいんじゃない?君、毎週日曜に浴室にこもって大変そうだし」
あっさり許可が出た。というか夫は私が毎週どれだけ苦労していたか知らなかったらしい。男って本当に...いや、これは別の話だ。
購入ボタンをポチッ。
3日後、段ボールが届いた。
開封する。思ったよりコンパクト。洗面所の隅に置けるサイズ感。娘も興味津々で覗き込んでくる。
「これで上履き洗うの?」
「そう。ママがゴシゴシしなくても、これが全部やってくれるんだよ」
「すごーい!」
娘の目がキラキラしている。そうだよ、すごいんだよこれは。
さっそくその週末、人生初のミニ洗濯機上履き洗いに挑戦した。
上履きを入れる。洗剤を入れる。コースを選ぶ。「泥汚れモード」なるものがある。ブラシ付きアタッチメントもセット。
スタートボタンを押す。
ガラガラガラ...シャワシャワ...ゴシゴシゴシ...
洗濯機が勝手に上履きを洗っている。私は何もしていない。
感動した。
30分後、洗いが終わり、自動で脱水に切り替わる。
ガガガガガガガ...
すごい音だ。でも頼もしい。これが脱水の音か。
さらに5分後、完了のブザーが鳴る。
上履きを取り出す。
軽い。
信じられないほど軽い。
今まで干していた上履きは、水をたっぷり含んだスポンジのように重かった。でもこれは、まるで購入したばかりのように軽い。
ベランダに干す。
翌朝、確認する。
乾いている。
完全に乾いている。
日曜の昼の時点で、カラッカラだ。
それからというもの、私の日曜の夜は劇的に変わった。
上履きを洗濯機に放り込む(5秒)。スタートボタンを押す(1秒)。以上。
あとは娘と一緒に「ちびまる子ちゃん」を見る。お風呂にゆっくり浸かる。本を読む。
月曜の朝も変わった。もうドライヤーを握りしめることはない。娘も「濡れてる」と文句を言わない。佐藤先生からの連絡もない。
さらに便利だったのが、体育館シューズ、運動靴、夫のランニングシューズ、私のスニーカーまで洗えること。メインの洗濯機と分けられるから、衛生的だし気兼ねなく洗える。
考えてみれば、今まで靴を洗濯機で洗うなんて発想がなかった。靴は手で洗うもの。そう思い込んでいた。
でも世の中は進化していたのだ。
先週、また保護者会があった。優子さんに感謝を伝えた。
「あの時教えてくれて本当にありがとう。人生変わったよ」
「でしょー?私も最初は半信半疑だったけど、もう手放せないわ」
別のママさんも「え、そんなのあるの?」と食いついてきた。
私は得意げに説明した。脱水の重要性を。土曜夜に洗って日曜昼に乾く奇跡を。月曜朝の平和を。
そのママさんもその日の夜に購入したらしい。
時短家電というと、食洗機とかロボット掃除機が話題になる。でもミニ洗濯機も立派な時短家電だ。週に1回、30分の重労働から解放される。年間で26時間。1日以上の時間を取り戻せる計算になる。
しかも手荒れもしない。冷たい水で指先が痺れることもない。
なぜもっと早く買わなかったのか。
いや、知らなかったのだ。脱水機能付きのミニ洗濯機なんて存在することを。
今、この文章を読んでいる人の中にも、毎週日曜の夜に浴室で格闘している人がいるかもしれない。月曜の朝にドライヤーを握りしめている人がいるかもしれない。
その人に伝えたい。
脱水機能付きミニ洗濯機、存在します。
あなたの日曜の夜を、人間らしくしてくれます。
もっと早く知りたかった。
でも、今知れてよかった。
娘が小学校を卒業するまで、あと3年ある。これからの156回の上履き洗いが、すべて楽になる。
それだけで、買った価値があったと思える。
ちなみに最近、娘が「ママ、私も洗濯機のボタン押していい?」と言い出した。
どうぞどうぞ。
むしろお願いします。